次期法改正に向けた具体的議論(その2)

みなさん、こんにちは。

前回に続き、2018年度法改正に向けた議論についてもう少し書き込みます。

要介護認定の簡素化 2次判定省略の可能性?

厚生労働省は、”要介護認定”について、現場の負担を軽減できる手段がないか検討しています。

介護保険制度の見直しを協議している審議会は、「業務の簡素化・効率化」を論点として提示しました。

会合では複数の委員から、医療や福祉の専門家などでつくる「介護認定審査会」が担う2次判定を、一定の条件で省略できるようにすべきと発言がありました。

老健局の担当者は会合後、「認定は制度の根幹で非常に重要。慎重に議論を深めていきたい。」と話しています。

要支援・要介護の認定者数は、昨年4月の時点で608万人。制度がスタートした2000年の216万人と比べると、約2.8倍になっています。高齢化の進行に伴い、その数はこれからさらに増える見通しです。

審議会では多くの委員が2次判定について発言しています。

・1次判定が覆らないことが確実なパターンであれば、その2次判定は簡素化すべき。
・非常に重い状態の要介護5の人などは省いてもいいのでは。
・新規申請でなければ省略できるようにしてほしい
・ICTをもっと活用すべき

などの意見がある一方、慎重論もありました。

厚労省はこのほかに、認定の有効期間をさらに伸ばすことの是非も検討するとしています。

次期介護報酬に影響を及ぼす!?「地域共生社会」とは

2016年6月2日に閣議決定された”ニッポン一億総活躍プラン”にも盛り込まれ、6月20日にも塩崎厚生労働大臣が改めて言及したコンセプト「地域共生社会」。今後、この概念を具体化させていくために、塩崎大臣自らをトップとする「推進本部」の設置が行われるとともに、本コンセプトの具体策が次期法改正・報酬改定に一定の影響を及ぼすと言われています。

ここでは、この「地域共生社会」について、概要を確認します。

まず、一億総活躍社会実現のための具体策を示した”ニッポン一億総活躍プラン”に「地域共生社会」という概念がどのように説明されているかについて、確認します。下記は、その抜粋です。

子供・高齢者・障碍者などすべての人々が地域、暮らし、生きがいを共に創り、高め合うことができる「地域共生社会」を実現する。このため、支え手側と受け手側に分かれるのではなく、地域のあらゆる住民が役割を持ち、支え合いながら、自分らしく活躍できる地域コミュニティを育成し、福祉などの地域の公的サービスと協働して助け合いながら暮らすことのできる仕組みを構築する。また、寄附文化を醸成し、NPOとの連携や民間資金の活用を図る。

また、6月20日に行われた塩崎厚生労働大臣の会見内容についてレポートされた記事も公開されていましたので、そちらも合わせてご確認ください。(以下、記事全文より重要部分のみ抜粋)

塩崎厚生労働大臣は20日、高齢者や障碍者、子供といった既存のジャンルを超えた福祉サービスの普及を進めるため、自らをトップとする推進本部を設置する方針を明らかにした。

「省として本気で正面から取り組む。改革の検討を加速していきたい。」という。介護保険の次の制度改正・報酬改定を視野に、具体的な施策を協議していく意向も表明。「審議会で今後、本格的に議論していただこうと考えている。」と述べた。

塩崎厚労相はこの日、三重県四日市市を訪ねて社会福祉法人などを視察。「地域共生社会」を目指し先駆的な取り組みに触れた後、「これを国民運動にしていきたい。厚労省に本部を立ち上げて正式に推進していく。硬直的な縦割りの制度だけでなく、新しいモデルをつくっていかないと日本の人口問題は乗り切れない。」などと語った。

その実現に向けては、分野横断的なサービスを展開していくことや複数の専門資格を取りやすい仕組みをつくること、複雑なニーズにも対応できる相談体制を整備することなどが、「今後の方向性」として掲げられた。

塩崎厚労相は20日、「これまでの地域包括ケアシステムは、高齢者施策の文脈で語られてきた面がある。今後は地域共生社会。地域に暮らす人全員をケアする、すべての市民・住民のための地域づくり、そんな意味合いに進化させたい。」と説明。

「そうしたサービスを制度としてしっかりと位置付ける。財源の手当ても考えていく。」と意欲をみせた。新たな「推進本部」では、老健局や社会・援護局など関係する部局の幹部が集まり、プランの「今後の方向性」で打ち出した施策などの調整にあたる。塩崎厚労相は21日の閣議後の会見で、「国民生活の新しい局面に合った制度を1日も早くつくっていく。なるべく早く本部を立ち上げたい。」との意向を示した。
(記事参照元:http://www.joint-kaigo.com/article/pg190.html

「分野横断的なサービス」の具体的なイメージとして、代表的な先駆的事例としては、高齢者、障碍者、子供など、多様な利用者が支え合いながら福祉サービスの提供を行っている「富山型デイサービス」や、高齢者や障碍者が、子育て支援にボランティアとして参画し活躍。子供も高齢者や障碍者に元気を与えて活躍している三重県名張市の「おじゃまる広場」「子ども支援センター」等があげられます。

また、「複数の専門資格を取りやすい仕組みをつくる」部分については、現在、医療・福祉の複数資格に共通の基礎課程を創設し、資格ごとの専門課程との2階建ての養成課程へ再編することや、資格所持による履修期間の短縮・単位認定の拡大を検討していること等が挙げられます。

地域住民個々の”QOL”という視点においても、また、生産年齢人口減少という”国策的課題に対する解決策”という視点においても新たな可能性を予感させる「地域共生社会」というコンセプト。

厚労大臣自ら旗振り役を務める推進本部を設置する、という発言からも、国が本腰を入れて取り組む意志の表れだと理解して差し支えないと思います。

事業者の皆様としては今後の動向をしっかり注視すると共に、行政施策の後追いに終始するのではなく、参考事例等から独自にヒントや気付きを得ながら、「どんな地域社会を生み出すことができれば、地域の人たちに愛され、必要とされ、かかわるすべての方々を幸せにできるだろうか?」と他人事ではなく自社のこととしての”ビジョン”を改めて考え始める必要があるのではないでしょうか。

私たちも今後、有益な情報を入手でき次第、発信してまいります。

長くなりましたが、以上です。

よしだ労務管理事務所

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