真の「聴く力」とは?

みなさん、こんにちは。

どの職場でもコミュニケーションの大切さは認識しているはずです。

経営者は会社で経営理念を機会あるごとに語り、当然職員は理解してくれていると思っている。あるいは上司は部下に仕事上の指示を出し、部下はその指示を理解して働いていると思っていた。

しかし、ある時トラブルが発生し原因を探ると、社長の想いや上司の指示は相手にまったく理解されていなかった。

また、部下から仕事や個人的な悩みの相談を受けた社長(上司)は、話を最後まで聞く前に過去の経験から相談内容を勝手に解釈し結論を出す。そして本人は社長(上司)として、部下の相談に乗って話を聴き、社内のコミュニケーションはできているとご満悦。でも当の職員は「そうじゃないんだけど・・・」。そしてまた一人職員が辞めてしまった。

このような経験はありませんか?

今回は、公益財団法人介護労働安定センターが発行している月刊誌”CARE WORK”8月号に掲載されていた”一般社団法人日本メンタルアップ支援機構 代表理事 大野萌子さん”の記事をご紹介します。

タイトルは、『真の「聴く力」とは?』 ー本当に相手の気持ちに耳を傾ける方法ー

相手の気持ちに寄り添いキーワードだけ繰り返す

良好な人間関係を築くにはコミュニケーション力が不可欠です。その中でも「人の話を聴く」ということはとても大切なもので、その重要性は多くの場所で頻繁に取り上げられています。

相手から発せられた言葉をただ単に「聞く」だけでなく、相手の気持ちを受け止める聞き方は「傾聴」と呼ばれ、その方法もよく耳にするようになりました。特に、対人援助職においては、大切なスキルです。

ほとんどの方は、「話を聴くことぐらい誰にでもできる」「そのくらいすでにやっている」と思っていらっしゃるのではないでしょうか。しかし、本来の「傾聴」の重要性を本当に理解し、実践している方は少ないように感じます。

真の「傾聴」を行うためには、さまざまなスキルと意識が必要とされます。その一つに「繰り返し」という技法があります。これは、相手の言った言葉をそのまま使って繰り返す方法なので、「単純でわかりやすい」と捉えられがちですが、実は、意外と難しい技法です。

例えば、この繰り返し技法を学んだBさんが、Aさんとの会話で、実際に使ってみようと試みます。
A「昨日、嫌なことがあったんですよ」
B[昨日、嫌なことがあったのですね」
A「実は、仕事でミスをしまして」
B「仕事でミスをしてしまったのですね」
A「ええ。それで、今ものすごく落ち込んでいるんです」
B「それで、今ものすごく落ち込んでいるのですね」

このような会話を交わせば、Aさんから「馬鹿にしているのか」と思われても仕方がありません。繰り返し技法は、機械的なリピートではないのです。
律儀は方ほど、このようなそっくりのままオウム返しするやり取りをしてしまいがちです。

では、どうすればよいのでしょう。すべてを繰り返さず、キーワードだけを単語で繰り返していくことが、ポイントになります。「はい」「ええ」「そうなの」などの通常の相づちを使いつつ、時折、その相づちの代わりに、相手の使ったキーワードを返していくのです。そのキーワードとは、「相手が訴えたい気持ち」の部分です。

これを見極めるためには、しっかりと相手の話に耳を傾け、発せられた言葉だけでなく、気持ちに寄り添う意識が重要です。上記の場合、Aさんが訴えたい気持ちは「ものすごく落ち込んでいる」です。その点を繰り返せば、あとは、「うん」などの単純な相づちでよいのです。

事実確認等にとらわれず「気持ち」を聴く

「いつもと様子が違う」「何かを訴えてきている」と感じる時には、真の「聴く力」が必要になります。ところが、きちんと聴こうとすればするほど、話の背景や時系列、事実確認にとらわれてしまう場合が多くみられます。

なにかを調査するのであれば、事実確認等が必要かもしれません。しかし、気持ちを聴く場合は、事実確認等がかえって邪魔になることも多いのです。

話し手はたくさんの情報を織り込みながら話します。例えば、誰かと言い合いになって、腹の立つ気持ちを聞いてほしい時であっても、その方が何歳で、どんな性格で、なんの職業をしているのかなどの情報を織り込んでくるでしょう。

聞き手がまじめな方であればあるほど、その情報を一所懸命に記憶したり、確認してしまう傾向があります。「あれ、何歳だったっけ?」などと、個々の情報にとらわれすぎると、本人の気持ちに寄り添うことが難しくなります。

そして、そのとき相手が伝えようとしていた「気持ち」を聞き逃してしまうことになる危険があります。実際、「事実」がどうであるかが問題なのではなく、話し手がどんな「気持ち」を伝えたいのかが、最も重要である場合がほとんどです。

「指導や指示」と「傾聴」を混同しない

また、傾聴の技法は、四六時中いつでも使えるものではないことを認識することも大切です。

実際、「繰り返し」の聴き方の訓練を受けた上司が部下の扱いに困ったというケースがありました。仕事を依頼した部下に、「私、この手の処理は苦手なんです。」と言われ、上司は「君は、苦手だと思うんだね」と対応しました。最初の一言はこれでもよいのです。しかし、この繰り返し技法が何度も続いてしまうことは避けなければなりません。

部下が「今抱えている仕事もありますし」と言い、上司が「抱えている仕事もあるんだね」などとやり取りしていたら、仕事はいっこうに進みませんよね。「それなら、やらなくてもいいよ」というわけにはいかないのです。

部下の気持ちを毎回受け止める対応をしていたら、何も指示ができなくなり、最悪の場合、「上司がメンタル不調になってしまう」という笑えない事態も起きてきてしまいます。

「指導や指示」と「傾聴」を混同することを避けなければなりません。業務中に傾聴にこだわりすぎてしまうと、仕事がスムーズに進まなくなる場合もあることを自覚し、必要に応じて傾聴を使っていく、必要な場面で傾聴を使うということが大切です。

気持ちをキャッチする対応で良好な人間関係を築く

傾聴技法は、そう簡単に身につくものではありませんが、すぐにできることもあります。大切なのは、「今」相手が話している気持ちに敏感になることです。そして、気持ちは流動的であるということを心に留めておきましょう。話しているうちに、気持ちは流れる水のごとく変化し続けます。

ですから、新鮮な「今」の気持ちに応えることが、「聴いてもらえている」という感覚につながります。

「流しそうめん」を思い浮かべてください。そうめんを食べるためには、流れている水(事実説明)はぼんやりと眺め、そうめん(気持ち)が来たときだけしっかりキャッチしますね。

「事実を正確にとらえることではなく、どんな気持ちを伝えたいかに注力する」ことこそが、「聴く」ということなのです。

どんな話にも、必ず話し手の気持ちが存在しています。気持ちに寄り添うことができれば、真の「聴く力」は発揮され、自ずと良好な人間関係が築けることでしょう。ご利用者様に関しては、特に、気持ちをキャッチする対応を心掛けたいですね。

以上です。

”相手の気持ちに寄り添って”とか”気持ちで聴く”ことは、上司と部下の関係だけでなく、同僚・仲間の間でも大切なことですね。

多少とも参考になりましたら幸いです。

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