2018年度介護保険法改正の方向性

みなさん、こんにちは。

社会保障審議会・介護保険部会では、2018年度介護保険法改正・報酬改定について12月をめどに論点整理を進めています。

今回は、その中のいくつかポイントをまとめました。

2018年度介護保険法改正についての5つの視点

現在の議論を整理・集約すると、大きく分けて下記5つに大別できるものと思われます。

(1)保険者機能強化・見直し関連
(2)人材確保関連(生産性向上・業務効率化)
(3)各サービスのあり方関連
(4)利用者負担・費用負担関連
(5)新たな枠組み関連(地域共生社会)

今回は、この中でも特にご質問・ご相談が多い(2)(3)の内容について触れてまいります。

人材確保関連(生産性向上・業務効率化)

まずは(2)の人材確保関連(生産性向上・業務効率化)についてです。
人材確保関連に対する議論は、これまでも触れてきましたロボット・ICTの議論です。9月の介護保険部会において、ロボット・ICTの活用促進のために、ロボット・ICTを活用している事業所に対して介護報酬や人員・設備基準の見直し等を介護報酬改定時に検討することが提案されています。

また業務効率化等の観点から法令上提出が必要な書類等の見直しや、ICTを活用した書類の簡素化を求めた提案がされています。この流れはさらに加速しそうですし、公的資金の動向も含め着目しておきたい論点です。

各サービスのあり方

続いて(3)の論点です。
まず、同会にて取り上げられているサービスの全体について確認していきます。

● ケアマネジメントのあり方
● 福祉用具・住宅改修
● 軽度者への支援のあり方
● リハビリテーション機能の強化
● 中重度者の在宅生活を支えるサービス機能の強化
● 療養病床再編に向けた議論
● 安心して暮らすための環境の整備(特養)(有料老人ホーム)

これらの中から特にご質問の多い項目「ケアマネジメントのあり方」「福祉用具・住宅改修」「軽度者への支援のあり方」「中重度者の在宅生活を支えるサービス機能の強化」各々について論点を確認していきます。

ケアマネジメントのあり方

まずケアマネジメントからです。
介護保険部会では、ケアマネジャーのあり方について、次の視点に基づいて審議が進められています。

  1. 資質向上を目的に、今後ケアマネジメント手法の標準化を推進する事。
  2. 適切なケアマネジメントを推進するため、居宅介護支援事業所における管理者の役割を強化する事。
  3. 特定事業所集中減算の見直しも含めた公正中立なケアマネジメントを確保する事。
  4. 利用者の1割負担をケアマネジメントにも導入する事。
  5. 入退院時における医療・介護連携の強化の観点から、居宅介護支援事業所の運営基準の見直しを介護報酬改定の際にあわせて検討する事。

特に4.の利用者負担問題については、反対署名22万筆以上集めたことを、「日本介護支援専門員協会」が6月の社員総会で明らかにしましたが、以降も賛否両論が併記されながら、現在も介護保険部会での審議は継続されています。

最終的にどちらに着地するかは未知数ですが、事業者としては「1割負担が導入される」ことを前提に、今後のことを考えておいた方が賢明だと言えるでしょう。

福祉用具・住宅改修

続いて、福祉用具・住宅改修の議論についてです。
福祉用具については、貸与価格の問題が議論されており、極端な価格差が生じないようにすることなどが論点とされています。

また、住宅改修にあっては、住宅改修の内容や価格について保険者が適正に把握・確認できるようにするとともに、利用者の適切な選択に資するための見積書類の様式や、複数の住宅改修事業者から見積もりをとれるようにケアマネジャーが利用者に対して説明することができることを提案しています。

さらに共通項として、福祉用具や住宅改修が、利用者の自立支援、状態の悪化の防止、介護者の負担軽減等の役割を果たしていることも考慮した上で、価格設定や保険給付の対象範囲、利用者負担のあり方等について問題提起しています。

軽度者への支援の在り方

続いて、軽度者への支援のあり方についてです。
10月4日の財政制度分科会では、「改革の方向性」(案)として、軽度者に対する生活援助については、地域支援事業に移行すべきとのまとめがなされています。

ところが10月12日の介護保険部会の論点は、その方向性とは異なっています。すなわち、まずは他のサービスの総合事業への移行状況や、「多様な主体」による「多様なサービス」を着実に進め、事業の把握・検証を行った上で地域支援事業への移行検討を行うべきとしています。

正当な理由があるとはいえ、この段階で大きく方向性が変わることはあまり例がなく、巷では選挙対策との噂が飛び交うほど注目された動きです。

中重度者の在宅生活を支えるサービス機能の強化

最後に、中重度者の在宅生活を支えるサービス機能についてです。
この議論は、小規模多機能型居宅介護や看護小規模多機能居宅介護、定期巡回・随時対応型訪問介護看護などの地域密着型サービスの利用者数や事業所数を増やすなどの充実をどう図るかというのが焦点です。

具体的には、地域密着型通所介護について、小規模多機能型居宅介護等の普及のため必要があれば、市町村が地域密着型通所介護サービス事業者の指定をしないことができるしくみの導入や、在宅のケアマネジャーが(看護)小規模多機能に利用者を紹介しても、プランの移動が生じないようにする等の提案がなされています。

このように、ここでの議論は、中重度者の在宅生活を支えるしくみとして、小規模多機能型居宅介護、看護小規模多機能型居宅介護、定期巡回・随時対応型訪問介護看護などの地域密着型サービスへの期待があらためて強く感じられる流れになっています。

自社の経営に影響が出そうな論点については更なる情報収集を

2018年度介護報酬改定の方向性は、もちろんすべて決まったわけではないにせよ、この12月のとりまとめへ向けて、その輪郭はかなり明確になってきています。

事業者様はこうした動向を想定し、特に自社の経営に直接影響が出そうな論点については、体制整備、人材育成などいかに早い段階から手を打つことができるかが重要でしょう。

経営にあっては、まさにその対応力がこれから大きく問われることになりそうです。私たちも今後、さらに有益な情報を入手でき次第、どんどん発信してまいります。

よしだ労務管理事務所

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