6月に開催された”介護給付費分科会”のポイントを整理

みなさん、こんにちは。

2018年度介護保険法改正・報酬改定の具体的議論が現在進行形で行われている”介護給付費分科会”。2017年4月に本格始動した本会は、5月に2回、6月に2回開催されており、徐々に各サービス・機能ごとに具体的な論点も公示されてきています。

今回は、6月に開催された会で挙げられた論点について内容を確認します。(今回は特に多くの事業者の皆様に関連するであろう2つのテーマを抜粋します。)

 

まず、6月7日に開催された分科会で挙がっていた論点から抜粋します。

【論点】

〇(口腔関係)

介護保険施設における適切な口腔衛生管理の普及、充実を図るため、歯科医師、歯科衛生士の活用や歯科医療との連携についてどのように考えるか。

〇(栄養関係)

施設における栄養管理体制についてどのように考えるか。例えば、

  • 入院率の低下や在宅復帰率の向上に資する栄養ケア・マネジメントの推進
  • 医療・介護の施設間における栄養管理の連携の推進

等を図るための方策として、どのような仕組みが考えられるか。

在宅要介護者の自立支援には低栄養予防が重要であり、低栄養傾向の者も一定数存在する中、通所サービスとして栄養改善サービスを推進するには、どのような仕組みが考えられるか。

(以上、2017年6月7日 介護給付費分科会資料より抜粋)

 

現在、要介護高齢者に対する口腔衛生管理については居宅療養管理指導や口腔機能向上加算(以上、居宅サービス関連)、口腔衛生管理体制加算、衛生管理加算(以上、施設サービス関連)等、栄養管理については「栄養マネジメント加算」 「経口移行加算」 「経口維持加算」 「療養食加算」(以上、施設サービス関連)、「栄養改善加算」 「居宅療養管理指導」(以上、居宅サービス関連)等で評価が行われていますが、要件となる症状や人員基準のハードルの高さ等を背景に、これらの導入が進んでいない、というのが実際のところではないでしょうか。

一方、自立支援という観点から考えると、口腔ケアや栄養管理の重要性については言及するまでもないことは間違いなく、このギャップをどう埋めていくのか?というテーマが、次回の法改正で取り上げられる可能性は高いと思われます(基準緩和?加算額増加?etc)。

特に「通所サービス」という言葉がわざわざ挙げられていることを考えると、通所サービス内における促進を図るため、何らかの方策が打たれる可能性が高い、と考えておいた方がいいのではないでしょうか。

 

では、つぎに通所介護に関する論点です。

【論点】

〇通所介護について利用者の必要な日常生活上の世話及び機能訓練を行うことにより、利用者の社会的孤立感の解消及び心身の機能の維持並びに利用者の家族の身体的及び精神的負担の軽減を図るという機能を踏まえ、サービスの提供実態等の現状、改革工程表、仕事と介護の両立、通所リハビリテーションとの役割分担等の観点も含め、そのサービスのあり方をどのように考えるか。

〇特に、利用者の心身の機能の維持が求められるサービスであることを踏まえ、通所介護における機能訓練のあり方についてどのように考えるか。

(以上、2017年6月21日介護給付費分科会資料より抜粋)

 

まず、1つ目の論点に書かれている内容について3点確認します。

(その1:提供実態について)

本内容に関しては、関連データとして「サービス提供時間」に関する調査結果が挙げられています。そのデータの内容を確認すると、サービス提供時間区分ごとの利用状況については、平成27年度末では7時間以上9時間未満が58%、5時間以上7時間未満が29%、3時間以上5時間未満が12%となっている中、

実際のサービス提供時間をみると、

7時間以上9時間未満は 「7時間以上7時間半未満」が60.9%、5時間以上7時間未満は 「6時間以上6時間半未満」が42.4%、3時間以上5時間未満は 「3時間以上3時間半未満」が82.4%で、各々ピークになっています。

これらの指摘から想像するに、場合によってはサービス提供時間の区分が変わったり、それに比例して報酬単価も変化したり、という可能性も考えられるのではないでしょうか。今すぐどうこう、と言うわけではありませんが、次の視点との連動も含め、事業者としては頭に置いておいた方がよいのではないかと思います。

(その2:仕事と介護の両立)

この内容については、国策的課題である「介護離職ゼロ」を推進する上で、平成27年度改定においては「延長加算の見直し(=介護者の更なる負担軽減や、仕事と介護の両立の観点から、延長加算の対象範囲を最大14時間まで拡大)」等が行われましたが、それらが機能している(=延長加算が数多く取得されている)とは言い難い現状も指摘されており、このあたりのインセンティブ設計に改めて手を加えられる可能性が考えられる点及び、「特に夜間帯のデイサービス提供体制を充実させるため、平成30年度介護報酬改定において夜間帯の加算措置を十分に検討すること(一億総活躍社会の構築に向けた提言(平成29年5月10日自由民主党一億総活躍本部)より抜粋)」という提起も議論の俎上に上がるかもしれないことを認識しておく必要があるでしょう。

(その3:通所リハビリテーションとの役割分担)

本内容については「短時間のリハビリテーションが本来あるべき姿であることから、例えば時間区分を通所介護と通所リハビリテーションで分けるなど、特徴づけを行ってはどうか(社会保障審議会介護保険部会の意見をもとに厚労省加筆)」という趣旨の検討が行われているかと思います(これはどちらかというと、通所リハに変更が反映されるかもしれませんが)。

最後に、2つ目の論点として掲げられている「特に、利用者の心身の機能の維持が求められているサービスであることを踏まえ、通所介護における機能訓練のあり方についてどのように考えるか」という観点についてです。

本観点については、「通所介護事業所間で見ても、リハビリテーション専門職の配置と個別機能訓練加算の算定の有無によって、機能訓練の効果(日常生活自立度の変化)に差が見られた(「通所介護等の今後のあり方に関する調査研究事業(平成29年3月)より抜粋)」という調査結果を背景に、財務省が指摘している「機能訓練加算を取得していない通所介護は減算対象にすべき」という指摘も本格検討される可能性も十分考えられるでしょう。

通所介護事業を経営されている皆様は、これらの情報・視点をしっかり頭に入れておかれることをオススメします。

 

上記情報はあくまで「現時点における議論のプロセス」であり、今後、時間の経過とともに、さらに内容が煮詰められたり、あるいは、議論の風向きがいきなり転換するような状況も発生するかもしれません。

介護経営者としては「こうなりました」という最終的な結論だけでなく、「なぜこのような内容に着地したのか?」という、言葉の裏に潜む意図や背景を温度感も含めて理解する姿勢が重要となってくるのではないでしょうか。

 

よしだ労務管理事務所

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