7月に開催された介護給付費分科会のポイントを整理

みなさん、こんにちは。

今回も先月に続き、7月に開催された”介護給付費分科会”で挙げられた論点のうち、多くの事業者様に関連するであろう2つのサービスについてまとめました。

 

まず、居宅介護支援事業についてです。

【論点】(2017年7月5日・20日介護給付費分科会資料より抜粋)

〇 居宅介護支援事業所における人材育成の取組を促進する観点から、居宅介護支援事業所の管理者のあり方についてどのように考えるか

〇 公正中立なケアマネジメントを確保する観点から、特定事業所集中減算のあり方や利用者やその家族に対する説明・同意プロセス等についてどう考えるか

〇 退院後に円滑に必要な居宅サービスを受けられるようにするために、入院時を含めた医療機関と居宅介護支援事業所との更なる連携に向けた取り組みについてどう考えるか

〇 末期の悪性腫瘍の患者に係るケアマネジメントについてどう考えるか

 

今回は、2番目の論点、「公正中立なケアマネジメント」について確認してまいります。

2016年3月、会計検査院より 「個々の利用者の人格を尊重し、利用者の立場に立って居宅サービス計画を作成した結果として集中割合が高くなる場合があることなどを踏まえると、ケアマネジメントの公正・中立を確保するための制度としての有効性について疑問がある。」

「ケアマネジメントの公正・中立を確保するという所期の目的からみて、必ずしも合理的で有効な施策であるとは考えられず、むしろ一部の支援事業所においては、集中割合の調整を行うなどの弊害を生じさせる要因となっていると考えられる」との指摘を受けて以降、にわかに注目される事となった特定集中減算。

次年度の改正において本スキームの変更に手が加えられるであろうことは間違いなく、先日の介護給付費分科会においても活発な議論が行われたようです。

「思い切って廃止すべき」という意見もあれば、やはり何らかの歯止めが必要、という観点から「利用者を含めたカンファレンスが適切に行われ、他職種協働が担保されている場合などは減算の対象から外してはどうか」 「地域に事業所が少ないサービスと医療系のサービスは除外すべき」 「サービスごとに細かく集中割合を設定してはどうか」等の意見も出ている状況で、最終的にどのような着地になるのか、事業者としては注目しておきたいところです。

また、本テーマとも一部重複する形で同時に議論が進められている、 ”サービス付き高齢者向住宅や住宅型有料老人ホームで暮らす高齢者向介護サービスの囲い込み問題”。通常の住宅で生活している要介護1、要介護2の高齢者と比較した場合、住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向住宅に居住する同認定レベルの高齢者の方が、区分限度支給額に対して圧倒的に高い単位数を消化している、という指摘が大阪府の報告書にてなされたことは、記憶に新しいところです。

それらの改善策の一つとして新たに議論の俎上にあげられたのが 「集合住宅減算(仮称)」。訪問介護や通所介護等のサービスで運用されているものと同種の内容を居宅介護支援事業にも入れていこう、ということのようですが、本スキームを導入する”理”はよく理解できるものの、果たしてこのスキームの導入が前述の”囲い込み”問題の解消にどれだけ貢献できるか、については、未知数だと言えるのではないでしょうか(何もやらないよりマシ?)。

 

次に、訪問介護の論点についてです。

【論点】(2017年7月5日介護給付費分科会資料より抜粋)

〇 生活援助を中心に訪問介護を行う場合の人員基準及び報酬について、要介護者に対する生活援助の意義を踏まえ、どう考えるか

〇 「生活援助」のみの利用状況については月31回以上の利用者が一定程度いる中で、身体介護も含めた訪問介護の報酬のあり方について、どう考えるか

〇 集合住宅におけるサービス提供の適正化について、どう考えるか

〇 主として身体介護を行う者と生活援助を行う者の役割分担を進めていくことが重要との意見がある中で、サービス提供責任者の役割や任用要件について、どう考えるか

〇 身体介護における自立生活支援のための見守り的援助について、どう考えるか。また、生活機能向上連携加算の取得状況を踏まえ、リハビリテーション専門職の意見を踏まえた訪問介護の実施について、どう考えるか

ここでは、はじめの2つの論点内容について確認します。

(その1:生活援助を中心に訪問介護を行う場合の人員基準及び報酬について)

「体力的な都合等で身体介護は難しいが生活援助ならできるという介護人材も存在し、その人材の活用を図るべき」 「生活援助の人員基準の緩和を行い、介護専門職と生活援助を中心に実施する人材の役割分担を図ることが重要」との意見が出る一方で、「生活援助の人員基準を緩和すれば、サービスの質の低下が懸念されることや、介護報酬の引き下げにより、介護人材の処遇が悪化し、人材確保がより困難になり、サービスの安定的な供給ができなくなる可能性がある」 「地域によっては生活援助を中心にサービス提供を行う訪問介護事業者の退出につながり、サービスの利用が困難になることが懸念される」等、慎重派の意見も根強く残る本テーマ。

「財政面から見ても変革止む無し」という方向に向かう可能性が高い(私見)と思われる中、慎重派の方が指摘している懸念点について、どれだけ包含できるか?が最終的な着地を構成する上での焦点になると思われます。

(その2:生活援助のみの利用状況について)

平成29年6月27日に財務省が公表した平成29年度予算執行調査においては、「生活援助」のみの利用状況(平成28年9月)について、一人当たりの平均利用回数は月9回程度になっているようですが、月に31回以上の利用者が6,626人にのぼっているだけでなく、中には月100回を超えて利用されているケースもみられるようです。

確かに「一定の間隔を空ければ1日に複数回所定の報酬を算定可能」とはなっていますが、この仕組みにより ”必要以上のサービス提供を招きやすい構造的な問題” が生じてしまっていることも事実として否めないのではないでしょうか。

具体的な改善の方向性としては、「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」とのバランスも踏まえ、例えば、1日に算定可能な報酬の上限設定など、「身体介護」も含めて訪問介護の報酬のあり方が問われることになりそうです。

上記情報はあくまで、「現時点における議論のプロセス」であり、今後、時間の経過とともに、さらに内容が煮詰められたり、あるいは議論の風向きがいきなり転換するような状況も発生するかもしれません。

今後も、有益な情報を入手でき次第、発信してまいります。

 

 

よしだ労務管理事務所

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