103歳の女性入居者がご両親の墓参り!

みなさん、こんにちは。

今回は久しぶりに公益財団法人介護労働安定センターが毎月発行している『CAREWORK(ケアワーク)』に掲載されていました手記を抜粋してご紹介したいと思います。

 

「理想を描く介護職は”夢とロマンと闘いの旅人”」社会福祉法人敬心福祉会 特別養護老人ホーム千歳敬心苑 人材育成担当 山口晃弘 記

 

103歳の入居者がご両親の墓参り!?

103歳の女性入居者ヨシさんが、孫のように可愛がってくれているのは若い男性職員の翔ちゃん。(一部略)

そんな翔ちゃんが、ある日私の所にやってきました。「山口さん、ヨシさんがご両親の墓参りに行きたいって・・・」。

ヨシさんは103歳。施設に入居して20年になります。このところ、体調を崩すことが多く、特にこの数日は食事や水分をあまり摂れていませんでした。医務をはじめ、現場では、「今の状態のヨシさんを外出させるのはどうなのか?」という声もあったようです。

翔ちゃんは、「だから連れて行きたいんですよ。だって、もしかしたらこれがヨシさんにとって人生最後の願いかもしれないじゃないですか」と必死に周りの職員を説得しました。

翔ちゃんの心意気を感じた私も、「確かに今のヨシさんをお墓参りに連れて行くのはリスクがある。施設としての責任を考えるのもわかるよ。でも、翔ちゃんの言うように、これがヨシさんにとって人生の最後に望むことだとしたら・・・。この人生でやり残したことだとしたら・・・。それを叶えなかった責任はだれが取るの?俺にはその責任の方が重いように感じるよ」と後押しをしました。

ヨシさんは既にごきょうだい全員が他界されていて、金銭管理をしてくれる家族がいません。そのため、ヨシさんには成年後見人がついています。

今回のお話を後見人さんに伝えると、「それはとてもありがたいことです。是非私もご一緒させてください」と、協力を申し出てくれました。

 

「何が大事か」をチームで共有し入居者の願いを叶える

当日を迎えました。この日は過ごしやすい気温に晴天。お天道様も、ヨシさんに味方してくれたようです。(一部略)

ヨシさんにとって久しぶりの遠出。私と翔ちゃん、後見人の方も緊張していました。ところがそんな私たちの心配をよそに、ヨシさんは目的のお寺に向かう車内でしゃべり続けていました。

子どもの頃の思い出、ご両親の話、ごきょうだいの話・・・。お墓参りに行けることの喜びが、ヨシさんから溢れるほど伝わってきました。これぞ、”お節介護”です。

施設の入居者を、ましてや103歳の方をお墓参りに連れて行かなかったとしても、誰も文句は言いません。ただでさえ、施設は人手不足。忙しい業務の中、一人の入居者のために職員を外出させることは大変なことです。

でも、それではご入居者一人ひとりの願いは叶えられません。私たちは「業務」に忙しく、それなりの疲労と充実感があるかもしれません。しかし、ご入居者にとって昨日も今日も明日も変わらない毎日では、苦労して長生きした甲斐がありません。

そんなことをみんなで理解し、何が大事かを共有したチームであれば、協力し合うことができるのです。「一人はみんなのために、みんなは一人のために」です。

 

駐車場からお墓までの道中でまさかの展開・・・

お墓のあるお寺までは順調に来ました。そしていよいよお墓参り。駐車場で車を降りると、「お墓はあっちよ」と、ヨシさんはお墓のある方向を覚えていました。それだけでなく、「あそこに井戸があったのに、もうなくなってしまったのね」など、何十年ぶりにもかかわらず、記憶はしっかりしていました。

そして、住職に案内していただき、ヨシさんのご両親が眠るお墓に向かうのですが、ここからまさかの展開。道中の石畳は車椅子の片輪が乗らないほど小さく、道幅も車椅子が通るギリギリ。しかも、長時間の座位保持が難しいヨシさんは、フルリクライニング車椅子で来ました。

「翔ちゃん!車椅子でお墓参りできるか確認しなかったのかよ!」「いや・・。あれ? しなかったかなあ?」 まさに、”苦難の道のり”となりました。

やっとのことでヨシさんのご両親のお墓に到着すると、それまでの疲れがいっぺんに吹き飛びました。

「ヨシさん、着いたよ」。翔ちゃんが声をかけると、ヨシさんはお墓を見て、涙をボロボロ流しました。「お父さん、お母さん、来ました・・・」。ヨシさんは泣きながら、しばらく手を合わせ、目を閉じました。私たちも一緒に手を合わせました。

 

”夢とロマンの闘いの旅人”諦めず、前を向いて進もう

帰り道、「感動しましたね」と翔ちゃん。「まあな・・」と私。

「余生を穏やかに施設で過ごせばいい」と思われがちな高齢者ですが、103歳になってもやりたいことがある。叶えたい夢がある。そんな夢を聞き流さず、真剣に考え、実現するために努力する。そんな心優しい介護職をたくさん育てていきたいです。

しかし、、心があっても、それができないで悩んでいる介護職は多いと思います。「慢性的な人手不足」「上司の理解が得られない」「他職種との連携がうまくいかない」・・・。そんな声をたくさん聞きます。

夢を叶えるためには、必ずハードルがあります。困難が付きまといます。簡単に叶うなら、それは夢とは言いません。夢を叶えることも、大切な人を守ることも、闘いなのです。

どんなに努力しても、届かないこともあります。理解を得られないこともあります。それでも前を向いて進むしかない。心が折れそうになることもあります。私もそうです。

だけど、「自分がやらなくても、誰かがやってくれる」、みんながそう思ってしまったら、誰もやらなくなってしまいます。

理想を描く介護職は、”夢とロマンと闘いの旅人” なのです。諦めず、大切な人を守るため、一緒に闘っていきましょう!

ちなみの、ご両親のお墓参りという願いが叶ったヨシさん。「来年も、再来年も、年に一回は行きたいわね」と言っていました。103歳のヨシさん。まだまだ長生きしてくれそうです。

 

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みなさんはどのような感想を持たれたでしょうか?

共感していただく方が多いことを願っていますが・・・。

 

 

よしだ労務管理事務所

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