労基署の定期監督とは

みなさん、こんにちは。

先日、労働基準監督署の定期監督(突然の訪問)を受けた事業者様と

お話しする機会がありました。

そのとき指摘された主な事項は、

  1. 労働時間の適正な把握
  2. 未払い残業代の有無
  3. 定期健康診断において異常の所見があった労働者に対する医師の意見聴取
  4. 賃金控除の労使協定の有無

などです。

 

一つ目の労働時間の適正把握は、

労働安全衛生法第66条の8の3(2019年4月1日施行)により

法律で初めて義務(罰則はなし)が明記されました。

条文のなかにある『厚生労働省令で定める方法』とは、

労働安全衛生法施行規則第52条の7の3に

タイムカード、パソコンによる記録など『客観的な方法』と規定があり、

また3年間保存が義務となっています。

 

当該事業所は、労働基準監督署から労働時間の把握・管理について

客観的に適正であることの説明を求められています。

仮に、始業時刻より1時間前に出社していたり、

あるいは終業時刻から1時間後に打刻されたタイムカードがあった場合、

正当な理由を説明できなければ、未払い残業代があると判断される可能性が

あります。

 

三番目の定期健診における異常の所見がある労働者に対する医師の意見を聴くことや

四番目の賃金控除の労使協定作成は、労務管理のなかで見落としがちな点です。

 

みなさんの会社では、いかがでしょうか?

 

 

時間外労働があったことを証明するのは、会社か労働者か?

みなさん、こんにちは。

先日、北海学園大学法学部教授で弁護士でもある浅野高広先生のお話を聞く機会が

ありました。そのなかで大変興味深いお話がありました。

 

残業代の未払いに関する労使間のトラブルが発生した場合に、

これまでは、残業時間が何時間あったかを証明する責任(立証責任)は、

労働者側にあるというのが一般的な見解でした。

しかし、最近の裁判例では、会社の労働時間管理責任を重くみて、会社側に

労働時間管理・把握義務があるという判断がされる傾向にあります。

具体的には、会社側に労働時間管理・把握義務がることを前提に、

特別の事情がないのにタイムカード等の開示を拒否したりすることは、

違法性を有し、不法行為を構成するものというべきである

(大阪地裁平22.7.15「医療法人大生会事件」)

↓  ↓  ↓

http://roumucouncil.blog.jp/archives/29980954.html

という判決があります。

 

会社が本来管理すべき労働時間を管理していない、あるいは、

争いになった際に求められる労働時間管理データを開示しないという態度は、

裁判において裁判官の不審を招き、不利なイメージを与えてしまうと

覚悟した方がいいようです。

 

 

 

36協定と特別条項

みなさん、こんにちは。

厚生労働省は、残業時間に一定の上限規制を設ける労働基準法改正案を

秋の臨時国会に提出する準備を進めていますが、今回は現状の36協定と

特別条項について確認したいと思います。

 

〇 一般労働者の時間外労働時間の上限は

  • 1ヶ月    45時間
  • 3か月  120時間
  • 1年間  360時間

※ 1年間の限度時間が360時間の根拠は 45時間 × 12か月 × 2/3 = 360時間

 

〇 特別条項を設けた場合の1年間の限度時間

[事例1]  1ヶ月60時間(45時間+15時間)の場合

1年間の限度時間=(45時間×6か月)+(60時間×6か月)=630時間

[事例2]  1ヶ月70時間(45時間+25時間)の場合

1年間の限度時間=(45時間+6か月)+(70時間×6か月)=690時間

[事例3]  1ヶ月80時間(45時間+35時間)の場合

1年間の限度時間=(45時間×6か月)+(80時間×6か月)=750時間

 

上記事例のような考え方ができますが、現在の法令では1ヶ月の残業時間に

上限がありませんので、100時間でも労基署は受理してくれるはずです。

ただし、担当者によっては、「休養・休日はどのように確保していますか?」

などと質問・指導を受ける場合があるかもしれません。

 

長時間労働を何とか短縮しなければいけないと考えていらっしゃる社長は

多いと思いますが、中には、実際には1年間に1000時間の残業時間があるにもかかわらず、

600時間程度にして特別条項付き36協定を届け出ている会社もあります。

明らかに労働基準法違反です。36協定の届出は現状に基づいて提出しなければなりません。

そのうえで今後、効率化を図るためには何に投資すべきか、そして残業時間を

短縮するために必要なことは何かを考えることです。

 

〇 特別延長時間の割増率

  • 1ヶ月の残業時間 45時間まで   125%
  • 45時間超60時間まで     125%+α(労使合意の割増率(努力義務))
  • 60時間超       150%(大企業は義務、中小企業は当面努力義務)

 

通常45時間までの残業には、125%の割増です。

45時間超60時間未満の残業時間には、125%にプラスアルファの割増率を

つけるかどうかは、企業の考え方次第です。財務的に余力がなければ無理でしょうし、

「いい人材を確保したいので割増率をアップする」という考えもあるはずです。

 

また、60時間超の場合は、150%の割増が義務となっていますが、中小企業は平成31年4月

以降実施の予定です。(現在は努力義務)

 

以上、簡単にまとめてみました。また労働基準法の改正等情報がありましたら掲載します。

 

 

36協定違反は送検される!

みなさん、こんにちは。

6月27日付日本経済新聞の隅っこに小さな記事を見つけました。

その記事は、日経新聞自体が36協定で定めた1ヶ月の残業時間45時間を超える残業をさせていて労働基準監督署から是正勧告を受けたという内容です。

厚生労働省は5月、労働基準法等違反で書類送検されたいわゆる『ブラック企業』334社を実名公表しました。

(一覧表)

http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/dl/170510-01.pdf#search=%27%E3%83%96%E3%83%A9%E3%83%83%E3%82%AF%E4%BC%81%E6%A5%AD+%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%88%E4%B8%80%E8%A6%A7%27

 

リストをザーッとみると、労働安全衛生法違反、最低賃金法違反、そして労働基準法違反です。

今回のブラック企業の1割以上(42件)が、36協定で定めた延長時間を越えて時間外・休日労働させ労基法32条(労働時間)違反として送検されています。

経営者の中には、「36協定は届け出ていないけど、残業代は支払っているから問題ない。」と考えている方もいらっしゃいますがそれは間違いです。

そもそも36協定を締結せずに残業させることはできません。労働基準監督署から指導・是正を受ける前に今一度確認することをお勧めします。

 

 

残業時間 公表義務付け

みなさん、こんにちは。

最近、労働基準監督署に就業規則の変更届や36協定を事業主の代行として提出する機会がつづきましたがその際、監督署の担当者にこれまでにないある変化を感じました。

それは、提出物に署名している労働者代表の役職であったり職務を詳しく問われることです。

従来から同様の質問はありましたが、今年になってからより管理・監督者に該当するかしないかを念入りに問われます。

「最近は、ずいぶん突っ込んで聞いてくるなあ」と思っていた矢先、5月18日付 日本経済新聞 朝刊のトップページに次のような記事が掲載されていました。

 

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残業時間 公表義務付け   厚労省 大企業の月平均

厚生労働省は2020年にも従業員の残業時間の公表を大企業に義務付ける。企業は月当たりの平均残業時間を年1回開示するよう求められ、従わなければ処分を受ける。それぞれの企業の労働実態を外部から見えやすくし、過度な長時間勤務を未然に防ぐ狙いがある。職場の生産性を高める効果も期待されるが、負担が増す企業側の反発も予想される。

20年メド、企業反発も

新たな規制は労働法制では大企業とみなされる従業員301人以上の約1万5千社が対象。従業員300人以下の中小企業については罰則を伴わない「努力義務」にとどめる方向だ。

対象企業は厚労省が企業情報をまとめたデータベースや企業のホームページで年1回開示する。虚偽が疑われるような情報しか出さない企業にはまず行政指導を実施。悪質な場合には最大20万円のペナルティーを科す。

正社員と非正規社員を分けるかどうかなど詳細な仕組みの議論を労働政策審議会(厚労相の諮問機関)で来年始める。

残業代を公表することで、企業が業界他社を互いに意識し合ったり、時間外労働を減らす新たな動機付けになったりすると厚労省は見ている。

企業にとっては労務管理の事務が増えることになり、労政審では経営者側から慎重論も出そう。残業時間を他社と並べて相対的に比べられることへの心理的な抵抗もある。

従業員の平均値を年1回示すだけなので細かな労働実態をつかみにくい面もあり、経営者の理解を得ながら実効性ある仕組みをつくれるかどうか問われる。

――― 以下、省略 ―――

 

以上です。皆さんはどのように受け止められるでしょうか?

 

 

よしだ労務管理事務所

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